牛久市の南西に広がる牛久沼、ここには古くから河童にまつわる話が残されています。
いたずらを繰り返す河童をしばりつけていた「カッパ松」という樹が残っていたり
河童にまつわる史跡があちこちに設置されていたりと、昔の民話の世界がそこかしこに広がっています。
また牛久沼に浮かぶ中の島には、昔うなぎを食わせていた店があったそうで
その料理屋の生け簀に、河童が飼われていたという小説も残っています。
国道6号線を通ると、牛久沼に浮かぶ中の島が見られます。
ボートで渡ると昔のお店の跡があるなどという話も聞きますが、定かではありません。
そして牛久沼のほとりには、かっぱの絵を多く残した日本画家 小川芋銭(おがわ うせん)の住居兼アトリエもあります。
今回は、この摩訶不思議な「かっぱの里」を巡ってみたいと思います。
牛久沼の河童の正体は・・・
牛久沼周辺には、現在もうな丼発祥の地としてのなごりで、老舗のウナギ店が数多く残っています。
茨城観光百選にも選ばれている風光明媚な平野湖。
白鳥などがそこかしこにいて、穏やかな風景が広がるこの沼は散策するにも絶好の場所です。
しかし、この牛久沼の名前の由来を探ると、ちょっと変わった話も出てきます。
牛久沼東部にある金竜寺の小僧が食事をして、すぐに寝てばかりいたら牛になったというのです。
その姿に恐れおののき、そのまま沼に入水した為、牛を喰う沼 牛久沼となったという云われが。
こちらがその金竜寺(きんりゅうじ)になります。
ここには牛になった小僧の入水を引き留めようとした際に、住職がつかんだ尻尾が千切れ
それが今なお、祀られているとか、いないとか・・・。
大変興味深いお話です。
それはさておき何故、この牛久沼に河童が住んでいるという話になったのでしょう?
一説によると、かっぱの正体は大ナマズだというものがあります。
牛久沼には昔から魚類も多く生息しており、大食漢のナマズにとってはエサに困る事は無かった訳です。
周囲25.5キロメートル、面積3.49平方キロメートルにも及ぶ、
この広大な沼には誰も見たことも無い、大ナマズが生息していたとしても不思議ではありません。
水面に潜む大ナマズが、鳥などを一飲みにすれば、それが河童の仕業ととられても納得がいきます。
日本に生息する淡水魚の中でも食物連鎖の頂点に立つナマズ。
琵琶湖に住む琵琶湖大ナマズは、大きいものだと1m30cmのものもいるそうです。
大きな口、離れた目、ヌメッた体。
なんとなく、河童との共通点があるような気がするのは、私だけでしょうか?
では、このかっぱ伝説と農村を愛し、数多くの河童を描いた日本画家、
「小川芋銭記念館」へと行って見ましょう。
「河童の芋銭」を訪ねて
国道6号線を土浦方面に向かうと左手に牛久沼が見えてきます。
それを過ぎて少しだけ走ると、左手に「小川芋銭記念館」へと向かう道があります。
この名も無い道に入ると、いかにも河童が潜んでいても不思議ではない風景が飛び込んできます。
ここから5分程走ると、小川芋銭記念館「雲魚亭」に到着です。
小川芋銭は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家です。 本名は茂吉(しげきち)
東京に生まれましたが、ほどなく一家で牛久沼のこの地に居を構えます。
若き日に洋画を学び、日本画を独学、大正期に日本画家として本格的に活動を開始しました。
田園に住み、旅を愛し、和漢の典籍をひもとくーその生活ぶりは「俗中の仙人」とも云われ
高い教養に裏打ちされた、独自の画境をつくりあげました。
こちらは牛久市にある牛久シャトーの売店で売られていた、小川 芋銭のポストカードを撮影したものです。
8枚入り、500円で販売されています。
また芋銭に話が戻りますが、大正6年に横山大観らの推挙により日本美術院同人となり
院展を中心に活動していましたが、昭和13年に脳溢血で倒れ、以後ここ雲魚亭で療養につとめる傍ら
「河童百図」でかっぱの絵を数多く残しました。
ここが晩年、芋銭が過ごした住まい兼アトリエです。
ここには、芋銭の書簡や制作に使用した筆や硯などの資料を見る事が出来ます。
室内を公開するのは土曜日、日曜日、祝日のみとなっています。
なんとも風情のある落ち着いたアトリエです。
晩年、このアトリエで多くの河童の絵を芋銭は書き連ねていたのでしょう。
室内は撮影禁止で写真は撮れないのですが、中には貴重な河童の絵が多数展示してあります。
どうぞ、直接中に入ってご覧ください。
車以外でも電車ですと、JR常磐線牛久駅西口から、コミュニティバスかっぱ号に乗り
「かっぱの碑入り口」でおりれば徒歩3分位で到着します。 月曜日は定休日です。
更にここには、いたずらを繰り返す河童をしばりつけた「カッパ松」が残っています。
村人に捕らえられた河童は、三日三晩この松に縛られ、やっと改心したそうです。
その後、沼の水草の掃除迄行うようになったとか・・・
そんなほのぼのとした民話の世界が「河童百図」にも色濃く表現されています。
是非、童心にかえって訪ねてみてはいかがでしょうか。
面白い発見があるかも知れませんよ。
そういえば、ここに来る途中にかっぱの小径という看板がありました。
牛久沼を見ながら散策が出来る場所のようです。
なかなか足場のいい沼全体を見渡せる場所が少ないのですが、ここはおすすめです。
まとめ
古くより、多くの文化人たちに愛された、この牛久沼のほとり。
ロマンあふれるかっぱ伝説が生まれたのもうなずけます。
今回訪れた場所は、全て入場料や駐車場が無料となっていますので
気軽に立ち寄ってみて下さい。
平成30年の今年は、明治元年から数えてちょうど150年の節目の年になります。
多くの文化人の息吹を感じるこの場所で、河童を探しに出かけましょう。
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