日本を訪れる外国人の数が、2017年で2800万人を突破しました。
この急成長を続ける理由のひとつに、格安な料金で空の旅が楽しめるLCCの急成長があります。
LCCとは? ローコスト・キャリアの略です。 なぜ、こんなに旅客運賃を安くできるのか?
LCCと対極にあるのが、従来からある航空会社のLC(レガシーキャリア)です。
または、フルサービスキャリア(FSC)とも呼ばれます。
なぜ、LCC(ローコストキャリア)がLC(レガシーキャリア)より運賃を安く出来るのか?
早速、その秘密を見ていきましょう。
LCC(ローコストキャリア)は何故安いのか?その秘密
この格安の航空運賃をウリとした、LCC(ローコストキャリア)は、日本でも2012年に
本格的に誕生しました。 ANAと香港の投資会社によって設立された「Peach(ピーチ)」
JALとオーストラリアのカンタスグループと三菱商事の共同で設立された「ジェットスター・ジャパン」
マレーシアのエアアジアとANAにより設立された「エアアジア・ジャパン(現バニラ・エア)」
これらの3社が国内資本のLCCとして始動を始めたわけです。
LCCの安さの秘密は、まずその運行機種にあります。 燃費が良く、収容人員もそれなりに乗せれる
短距離向きの1機種程度に統一するということです。
機種を絞り込む事により、パイロットや乗務員の育成、訓練にかかる費用を減らせます。
もちろん、飛行機の整備を行うメカニック達にも同様の効果がある訳です。
更に、決まった特定機種を大量に仕入れるため、機体のコストを安くできるというメリットも生まれます。
そして、このようなコスト削減は乗客にも求められます。 例えば・・・
ボーディング・ブリッジを使わず、タラップを使用しての搭乗になるとか、手荷物の預かりを
有料化するとか、LC(レガシーキャリア)であれば当たり前の機内食を有料化にするとか・・・。
まだまだ、あります。 航空チケット販売をインターネット予約にすることでのコスト削減。
日帰りでの往復便を増やす事で、乗務員の滞在コストを抑える。 キャンセル料を高く設定する。
この様なコスト削減が、低価格の秘密なのです。
ちなみに、人件費も例にもれず削減?しています。
LCの機長の平均年収は2000万円前後ですが、LCCでは機長で1200万円前後、
副機長で800万前後となっています。
また、CA(キャビンアテンダント)も契約社員にして、年収300万円前後に設定しています。
しかし、LCC各社はまだまだコスト削減できる余地はあるといいます。
何故、そこまでのコスト削減に迫られるのか?
その理由はアジアのLCC各社の価格競争に理由がありそうです・・。
LCCにおけるアジアの空の覇権争い
日本初のLCCとして誕生した、ピーチ・アビエーションが昨年度初めて、減益決算になったそうです。
その原因ともいうべきものが、アジアのLCCが投げ売りを行っているためだというのです。
日本への旅客便には、並々ならぬ需要があるために、アジア各社は猛烈な勢いで攻め込んできます。
現在、日本路線を運航するLCCは21社もあるそうです。そのような勢力に対抗するため
本年度末には、ピーチ・アビエーションがバニラ・エアとの統合を決めています。
今後の生き残りの先に見えてくるのは、中距離、長距離への路線変更でしょう
ですが長距離になれば、今までのような短距離で使えた、徹底したコスト削減戦略が使えなくなります。
そう、現行のLC(レガシーキャリア)との差別化が薄れてしまう訳です。
そこで活路を見出したのが、中距離輸送に焦点をあてる戦法となります。
中距離に進出すれば、タイやベトナム、シンガポールまでも視野に入れた展開が待っています。
ただ、そのためには現段階で使用する短距離機だけではなく、中距離機も必要になります。
通路を二つ持つワイドボディ機とよばれるものだと、今までの小型単通路機に比べ2.5倍の
費用が掛かります。 このような機体を使い、高い収益を生み出すのは至難の業だそうです。
しかし、日本航空(JAL)は、このLCCにおいて、このワイドボディ機を2020年ごろ参入させる予定です。
この辺りの中距離輸送に置けるワイドボディ機導入には、各社様々な思惑があるのでしょう。
アジアの制空権を占う、この争いは今後もヒートアップしていく事になりそうです。
まとめ
いずれにせよ、コスト削減をしていくにも限界が出てくるはずです。
我々は命を預ける旅客費用にそこまでのものは求めていないはずです。
運賃>安全性であっては本末転倒です。
ベトナムのベトエアジェットは小型機のみで高い収益をあげている会社です。
日本にも今年進出するようですが、やはりその秘密は安い人件費なども関係しているはずです。
国内資本のLCCにおいては、魅力的な運賃以外にも質の高いサービスで差を付けるなどの工夫が
迫られているのかもしれません。
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