今回東京ディズニーシーを訪問するにあたり、多くのゲストを魅了して止まない世界観はどこにあるのか?!
その秘密を突き止めようと足を運び、多くの事を吸収してまいりました。
普段私はこんなジオラマを作ってはオークションで小銭を稼ぐ日々を送っていますw(本業は違います)
おそらく今現在、東京ディズニーシーで展開されている「エイジング塗装」と「モルタル造形」は
その業界においてはトップレベルの職人さんが集結した、本当に高度な集大成であると聞き及んでいます。
そこへ全くの素人である私が乗り込み、一体何が分かったというのか?
まあむつかしい話は置いときまして、ジオラマ好きの親父が感じたままを綴りましたので
お時間が許せば、お読みください。では、どうぞ~!
ディズニーパークの世界観を作っているのは「エイジング塗装」だった!
「エイジング塗装」とは簡単に言えば、新品のものを使い込んだように見せかける塗装の事です。
風雨にさらされ、まるで何十年とそこにあったかのような風合いを醸し出すテクニック。
そこに身を置くだけで心地よい。見知らぬ街に突然放り込まれたような錯覚におちいります。
きっとそれが何度もディズニーパークを訪れても飽きない秘密なのではないでしょうか。
早速 一つずつ見ていきましょう。
ここは新しくオープンした人気アトラクション「ソアリン」で順番待ちをする通路の壁です。
この岩は本物なのでしょか?それともモルタルで一から作っているのでしょか?
思うに本物の石なりレンガを組み合わせているのではないかと・・・
その上から樹脂系の塗料を塗り、エイジング塗装を施しているのでしょう。
注目していただきたいのが、レンガの写真で、すき間から垂れる白い雨だれ跡の表現です。
「雨垂れ跡」は野外に放置されているものならば必ずあるはずの自然現象です。
白い車を洗わないでおくと、黒い線が上から下に付きますよね。あれです。
私の作ったジオラマで恐縮ですが、これも上から下に目立たないように黒い線を入れています。
これがあるのとないものでは、リアルさが違ってきます。
雨だれは白いものには黒い線が、濃い色の物には白い線が協調される傾向があります。
こんなひと手間がレンガをより本物らしく見せてくれます。
こちらもソアリンの順番待ちで並ぶ庭園のてすり。
端の方で塗装が剥げているのがお分かりいただけると思います。
一般でいう所の「はがし塗装」ですね。
プラモデルの塗装テクニックでもよく使われる技法の一つです。
塗装した後に硬いもので塗装を削り取っています。
使い込んだように見える表現が心地よいですね。
指で触ると塗装が剥がれ落ちている段差が感じ取れます。
プラモデルでは下地を塗った後ヘアスプレーをかけて上の塗装をおこない、その塗装をはがしていきます。
これは上の塗装をはがして下地の物をそのまま出している感じですね。
続いてはサビ塗装です。
園内を歩けば金属部分は至る所、この様にサビ塗装が施されています。
(´・ω`・)エッ?、こんなところまでサビ塗装してるの!!
いっさいの手抜きなしですw
自称「サビ職人」を目指している私ですが、プロの妙技が惜しげもなくさらされていて大変勉強になりました。
中でも心を奪われたものがトタン板のサビ塗装でした。
一区切りごとに色を違えています。
その表面は塗装が剥がれていったような塗装。
そして釘から垂れるサビ垂れ跡。
「参りましたぁぁ~~~~!」
この様な集合体が折り重なり、ひとつの背景を作り出す。
見るものが意識していなくとも、それらの光景は深く脳裏に焼き付けられていくのです。
では次の章では、今回一番おどろいたエイジング塗装について触れてみたいと思います。
目から鱗が落ちる程の木材塗装に驚く
ディズニーパークではいたるところで目にする機会の多い木材たち。
私が始めて目にした木材は、モルタルで精巧に作られた模造品?だと思っていました。
何といいますか、切り口や角に木材であればあるはずの木目が見当たりません。
ツルツルになっているんです。
「実はこれモルタルで作った木材風のものに、絶妙なエイジング塗装を施しているんですよ。」
そのように言われると「やはり、そうでしたか!」と納得できるような仕上がりです。
パークに着いてから半日が経とうとしていました。
それまでにも目を皿のようにして園内の建造物を見入っていたのですが、私の中で何かが納得していなかったのかも知れません。
パーク内を案内していたキャストの方にいきなり話しかけていました。
普段ディズニーの方に気軽に話しかけるなんて出来ない私が、いきなりこんな質問を浴びせかけましたw
「この木材のようにみえるベンチは、一体何で作られているのですか?
材質はレジンかなぁ~、それともモルタルですか?教えて下さい!!」
「やべぇ奴がきたぞ!!」
きっと心の中ではそう思ったのでしょうが、顔色一つ変えずにキャストのお姉さんは丁寧な説明をしてくれました。
「実はこれ、木材を真似して作ったものに見えますが、本物の硬い木を選んでその上から厚い塗装をしている物なんですよ」
「もしこれがコンクリートのようなもので作られていたら重くて移動も大変ですよね、でも意外と簡単に移動できます!」
説明を受けた後でベンチを持ち上げると簡単に持ち上がりました。
そ、そうだったのかぁ~!!!
確かに形状は木材ですよねぇ、それにしてもこのエイジング塗装は凄すぎる~!
何かややこしい話になってしまいましたが、全て納得出来ましたw
最後にキャストの方から
「まだまだいろいろな道具たちがありますので、ゆっくり見ていってくださいねぇ、行ってらっしゃい!」
この方もプロでした・・・
ではパークに散りばめられた木材のエイジング塗装を堪能していきましょう。
本当に楽しいですね!(いや、そんなには・・・・)
この写真を見て下さい!
ここは港に近い設定の場所。
強烈な潮風を受けて、木材の下は塗装がはげ落ちています、リアルだなぁ~。
やはり一日では調査する時間が足りません。
他にも目を奪われるいろいろな建造物。
また日を改めて訪れる事にいたしましょう。きっとパークも私を待っている事でしょう(←少しは同伴者やキャストさんの迷惑も考えろや)
まとめ
気が付けば辺りは宵闇に包まれていました。
今回、この取材?を通して感じた事がひとつ。
ディズニーパークのエイジング塗装はギリギリの絶妙なラインを守っているという事でした。
どういう事かと申しますと
あまりにリアルすぎるエイジング塗装は、見る人にとっては清潔感を損なうという事実です。
世界各国にあるディズニーパークの中でも日本のディズニーパークはキレイと評判です。
パークを訪れた方達はサビたベンチにも安心して腰を下ろします。
それはこの汚れは塗装したものだという確信があるからです。
リアルさと作り物のギリギリの境界線を見極めて作り出された世界観。
そのさじ加減は本当に見習うべき技術だと思いました。
皆さんもパークを訪れる機会が出来たら、少しだけそんな目線で眺めてみても面白いですよ!
では、気をつけていってらっしゃい!
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