2018年10月11日、ついに豊洲市場がオープンしました。
オープンに先立ち小池都知事が、「様々な議論を経て、実施に至った」とあいさつを述べました。
世界最大級の水産物市場、東京都築地市場から豊洲市場への移転が実施されたわけです。
オープン初日、ターレー(小型運搬車)から出火するなどのハプニングはありましたが、
いよいよ日本が世界に誇る、台所が新たな幕をあげたのです。
まだまだ、問題山積の豊洲市場ですが,これからの発展を見守っていきたいと思います。
地下水から基準値以上のベンゼンが検出されるなどの問題が発覚し、
移転中止にまで及んだこの豊洲市場でしたが、科学的に安全が確認されたとして「安全宣言」が出されました。
また、豊洲市場に隣接する観光拠点「千客万来施設」も2023年に開業する見通しとなっております。
揉めに揉めたこの豊洲移転、一体どのような経緯があったのでしょう。
豊洲市場、土壌汚染、食の安全・安心
現在の豊洲市場がある場所は、以前東京ガス豊洲工場があった場所というのは、
皆さんご存じの事と思います。
東京ガス豊洲工場は約30年にわたって都市ガスを製造していました。
その製造過程でヒ素が使われ、ベンゼン、シアン化合物が副産物として生成されていました。
このような跡地であったことが、その後の様々な問題を生み出してしまいました。
市場関係者はもちろん、世論を巻き込み「食の安全」について、
またその新しい市場で働く人達の健康問題まで含めた議論になっていったのです。
その後、小池都知事により、豊洲移転の延期が正式に発表されました。
また「盛り土」問題が浮上し、豊洲移転は中止になるのではないかといった声まで出始めました。
更には、物流の問題や新施設の使い勝手においても、不平不満の声が広がります。
以前の築地市場は総面積が、23ヘクタールで豊洲新市場は、ほぼ倍の40ヘクタールとなっていますが、
実際に作業する店舗スペースは狭くなっているというのです。
様々な憶測が飛び交う中、2018年7月に土壌汚染の対策工事が完了し、
さきの「安全宣言」が出されました。
確かに老朽化が進む築地市場からの移転は、遅かれ早かれ実施されるものだったはずです。
ただ、その移転において出発の段階から、いささか都民不在の進め方に問題があったのかもしれません。
今も愛され続ける築地市場とは・・・。
なぜ、これほどまでに市場が移転というだけで大問題になったのでしょう。
そこにはただ単に普通の市場ではない「世界の築地」だからこその理由があります。
築地の供給圏は、都内だけではなく関東近県にまで及んでいます。
特に水産物においては世界最大級の取り扱い規模があり、我が国の建値市場としての役割を果たしています。
建値とは、売買の基準とすべき値段のことです。
つまり、この築地の値段が全国の市場での建値となる訳です。
そういった側面だけではなく、築地の業者たちの知恵と技の積み重ねで出来上がった「目利き」は
築地に通う者にとっては、絶大なるブランドなのです。
「今朝、築地で仕入れた」というだけで、それはすでに多大なる信頼の証になります。
また、外国の方達が築地を訪れ「こんな清潔な市場はみたことがない」
といわれるほど、衛生面においても突出した場所でした。
こういった素晴らしい技や伝統が、新しい豊洲市場へ受け継がれるものだと信じています。
まとめ
先の都知事のあいさつに「しっかりと新しい市場を育てていきたい」
といった発言があったそうですが、まさしくその通りですね。
食の安心・安全をしっかりと確保していきつつも、
今度は豊洲ならではの技、伝統を力強く育てていかなければなりません。
「世界のツキジ」ブランドを継承できる人達の活躍を強く応援していきたいと思います。
現代の築地はどうなっているの? 築地市場の場外, 今はどうなってる?移り行く巨大市場
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