ナイキ・オレゴンプロジェクト 皆さんはご存じでしょうか?
最強のアフリカ勢に勝つことを目標に作られた、 今、一番HOTなマラソンチームです。
アジア人として初めて参加が許された、大迫 傑選手が所属するチームです。
詳細なトレーニング方法は、秘密のベールに包まれています。
第95回 箱根駅伝においても、花の2区で目の覚めるような走りを見せつけたケニア人ランナー達。
果たして彼らの速さの秘密とは一体何なのでしょうか?
実はこの問題は過去何十年にもわたり研究、議論されてきているのです。
そして未だに明確な答えは見つかっていません。
しかし、もしこの答えが彼らの身体能力ではなく、メンタルな面に隠されていると言うと、
あなたは信じるでしょうか。 その辺を少し、深堀りしてみました。
ケニア人ランナーの速さの秘密
私は数か月前につくばマラソンでドラマ・陸王にも出演していた、ケニア人ランナーの
サイラス・ジュイ選手の走りを目前で見ました。
ご厚意で撮らせて頂いた写真を使う事をお許しください。
ゴール目前で私の目の前をすごいスピードで駆け抜けていった、サイラス・ジュイ選手。
その走りをどう表現すればいいのか、ずっと考えていました。
時間が経つにつれ、こう表現したら分かり易いのではないか、と思うようになりました。
野生のカモシカがアスファルトの上を飛び跳ねるとああなる。
今、中長距離のケニア人メダリストの中でも、もっとも優秀な成績を収めているのがカレンジン族です。
(写真はマサイ族です)
あまたいるランナーの世界で、ケニアのカレンジンという限られた部族が、
高額の賞金とメダルを軒並みさらっている訳です。
カレンジン族はその昔、他の部族から家畜を盗む伝統があったそうです。
マサイ族も家畜を盗みましたが、彼らは数に物を言わせて堂々と盗んでいたそうです。
かたや、カレンジン族はひそかに盗み、素早く逃げる戦法。
略奪の主役は長距離を早く走る事に長けた男たち。 捕まれば、殺されます。
そして、略奪で生きて帰ってきた者にはより多くの家畜が与えられました。 それが男たちの勲章でした。
ですが、そのような風習があったことが、今多くのマラソン界を席巻している理由ではないはずです。
そして、まことさやかに言われている事があります。
ケニア人は高地に住み、子供のころから多く歩かされて人並外れた心肺能力を有していると。
ですが、ある検査でカランジン族と北欧のランナーの心肺能力には大きな差がないことも実証されています。
以前は遺伝による能力の髙さによるものだといわれていた事実もここに来て信憑性を疑われています。
また、ケニア人は足が細く軽いため、長距離に強いとも言われます。
ひざ下重量が軽いために有利だというんですね。
ですが、そういった点においてはインド人も共通するものがあります。
さらにそのような理由であれば、マサイ族でも有名なランナーが多数出てきてもいいはずです。
それに見合った環境が整っていないと言われれば、それまでですが・・・。
ケニア人ランナーの速さの秘密はキャンプにあった?
ケニア独特の食生活やライフスタイルが長距離の速さの秘密ではないかという科学者達もいます。
そして、ケニアで行われているキャンプに参加することで、強くなれるという噂もあります。
そういったキャンプではレベルの高い選手が大勢いて、より競争意識が働くのも分かります。
またランニングによって貧困から抜け出そうという考えが根底にあるのも速さの秘密でしょう。
ですが、先程でたナイキ・オレゴンプロジェクトはそうではないのでしょうか?
マラソン界において才能あるものだけで作られたチームでは切磋琢磨する厳しい世界が待っています。
ある研究ではケニア人ランナーの類まれなる身体能力の秘密は、運動開始直後から脂肪のエネルギー
を使える点にあるといいます。 普通の人は脂肪を燃やそうとするときは、ある一定の時間が必要に
なりますが、カレンジン族は長距離を歩き続けた生活習慣のためにその時間が短縮できるというのです。
今ひとつ説得力に欠ける気がします。
ここで私は、貴重な情報を耳にしました。
それはケニアのキャンプで多くのケニア人ランナーが口にしている言葉でした。
「同じ部族の人間に出来た事なら、それは自分にも出来る」
そして練習すれば、誰でも早く走れるという事を信じて疑わないという事です。
これはケニア人の良い意味での特殊性だと思います。
彼らは、走る際に科学的な理論をあまり重要視しません。
このペースで走れば体がどうなるのかを感覚で捉えます。
そして先程の「同じ部族の人間に出来た事なら、それは自分にも出来る」という言葉。
決して口先だけではなく、本心でそう思っているのでしょう。
これこそが彼らの速さの秘密なのではないでしょうか。
ここケニアに於いて、ランナーとして生活を立てようとする若者は沢山います。
そして多くのケニア人ランナーも日の目をみずに消えていっているのが現実です。
しかし全てのケニア人ランナーは固く信じています。 練習すれば、誰でも早く走れると。
前述した、サイラス・ジュイ選手がつくばマラソン前夜祭でライバルは?と聞かれたときに
「エチオピアの選手だ」といった記憶があります。
多分、エチオピアの選手もカランジン族の選手も、身体の作りはそれほど違わないはずです。
そうなってくると、どちらが強く自分を信じているかという問題になってきます。
皆さんはどうお考えになるでしょうか。
まとめ
確かに生まれ持っての素質や競争意識の高さを否定するつもりはありません。
ただ私はこの話を聞いて、昔読んだ本を思い出しました。
「信念の魔術」というタイトルだったと思います。
必ずそうなるという思考は、現実化するといった内容の物でした。
人間が何の疑いも持たず信じる事は、それがどんな内容であれ、具現化する。
信仰にも似たこのような思いは、今の科学的なデータで全てを処理しようとするスポーツ界において、
もっとも置き忘れてきたものなのかも知れません。
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